TrustYouでは、年に一回ユーザーの皆様と、クチコミのトレンドやTrustYouの活用方法を勉強する“ユーザー様向け勉強会(通称:ユーザー会またはUser MeetUp)” を開催しています。本ブログでは、その内容の一部をご紹介いたします。
2021年11月17日の勉強会は「運用事例から学ぶ、本社と現場の連携を強化するためのクチコミデータ活用とは」と題して開催。TrustYouセールスチームの原と岡本からTrustYouの活用事例「本社と現場の連携強化のための4つのポイント」についてご説明しました。
チェーンホテルの本社と現場が連携し、クチコミデータ活用と運用を行うには組織全体で共通の目的を共有することが必要となります。TrustYouユーザーであるチェーンホテルの本社の方々にお話を伺うと、本社と現場が共通の目的を共有していることが分かりました。
チェーンホテル様のクチコミの活用・運用おける目的は主に下記の4つのタイプに分かれます。
- タイプA: ブランドの構築
- 本社 では、ブランド強化による販売戦略を取っている。
- 現場 では、自施設の強みと弱みを明確にし、常に業務の改善に集中している。
- タイプB: 競合優位性の構築
- 本社 では、ホテル全体を客観的な指標でみている。
- 現場 では、競合比較を元に、自施設のマーケットでの立ち位置を日々確認している。
- タイプC:トレンドに合った顧客ニーズの把握
- 本社 では、変化する社会環境への対応に注力している。
- 現場 では、新たな商品開発やサービスの提供、宿泊プランの造成に注力している。
- タイプD:CSの向上、強化
- 現場 では、目の前のお客様に対するC S向上に取り組んでいる。
- 本社 では、 組織全体のC S体勢の構築に取り組んでいる。
A. ブランド構築を重視されているチェーンホテルの特徴について
ブランド構築に力を入れているホテルは、自社のサービスや商品についての理想像や、ビジョンを持っています。クチコミデータから自施設の強みと弱みをから把握することで、ブランドの構築や強化に取り組んでいます。
上記のホテル様では、「1. 現状の把握」、「2. 仮説の設定」、「3. 仮説に基づく打ち手の策定」の3つのステップで、ブランドの構築と強化に取り組んでいます。
「現状の把握」として、ゲストからいただく評価を把握するためにTrustYouの言語感情分析データ、”センチメントスコア”を活用されています。センチメントスコアでは、客室、ホテル、サービスなどのカテゴリー別に、肯定的なクチコミと批判的なクチコミの割合をスコアで把握できます。スコアの背景も、クチコミ原文を読み込んでいくことで理解することができます。
元々、”強み”と把握しているカテゴリーのセンチメントスコアが高く、ゲストからもその強みが認知されていれば問題ありません。逆に、強みと思っているカテゴリーのスコアが低い場合は、理想像(ブランド)と現実(ゲストからの評価)に乖離(かくり)が生じていると言えます。
また、ゲストから思わぬカテゴリーについて肯定的なクチコミをいただくことで、新たな強みを発見することもあるでしょう。その場合は、「仮説の設定」として、“発見した強みをさらに磨くこと”でブランを強化できるのではないか”と検討をすることができるでしょう。
さらに次の段階、「仮説に基づき打ち手の策定する」の段階では、ブランドを訴求するターゲットを特定したり、ゲストから評価を受けているハード面またはソフト面を具体的に特定したり、さらに深堀りするためには、アンケートを実施することが有効です。
アンケートで回答を得ることにより、お客様との乖離を改善するための具体的なアクションに落とし込んでいくことが可能となります。例えば、現場のアンケートの回答を通して、”Instagramを通して情報収集をされているゲストの方が自施設の強みを理解している、ブランドを支持している”ことが分かれば、自信を持って、更にInstagramでの情報発信に力を入れることができます。
アクションを実行後はセンチメントスコアやコメントに変化があるかどうかモニタリングします。良い評価が得られていれば、仮説が正しかったと判断でき、その逆の場合あれば、また新たな仮説を立て、新たなアクションに移す。このように本社と現場でクチコミデータを活用し、弱みを改善し、強みを活かす良い運用サイクルを作ることで、確固たるブランドを構築していくことができます。
B. 競合優位性の構築を重視されているチェーンホテルの特徴ついて
タイプBのホテルは、客観的な指標としての策定にあたり、TrustYouの”パフォーマンススコア”、”センチメントスコア”をKPI(重要指標)として活用されています。これらの指標を活用し、競合との比較をする方法としてグラフを作成する方法があります。例えば、ここでは客室、設備、立地といったバード面、サービス、朝食、清潔さといったソフト面の数値をグラフ化しています。
TrustYouダッシュボードの「競合ホテル」タブに競合Indexという競合施設との比較指標があり、上記図のこの指標では、ハード面が0.85、ソフト面が0.38と競合施設より劣っており、そこに課題があることが分かります。
継続的に競合Indexを確認すると、客観的に、自施設の強みと弱みを特定し、KPIの策定や戦略構築の判断に活用することができます。クチコミ数や返信率もダッシュボード内のタイルで確認ことができますが、これらのデータを競合と比較することでより、データがより立体的に見えてきます。具体的な比較の方法としては、こちらのホテル様のようなテーブル(表)を作成して比較するのが良いでしょう。こちらの施設様のパフォーマンスは1.01と悪くないのですが、クチコミ数は0.21劣っており、返信率も0.56と競合施設に比べ低いことが分かります。このように自社のデータに自己満足するのではなく、周辺の競合施設との比較をし、クチコミ管理から競争力を上げていただくための対策としてTrustYouの分析ツールをご利用いただいています。
競合施設の選定は、周辺施設でなく、県外であっても大丈夫です。なぜそのホテルを競合に設定しているのか、目指したいホテルを明確にすることが大切です。
C. トレンドに合った顧客ニーズの把握されているチェーンホテルの特徴について
社会ニーズの変化に伴い、新しい顧客ニーズが出てきています。コロナ禍におけるホスピタリティ業界の主な変化としてゲストタイプの変化(インバウンド→国内)がありました。また、消費者のホテル選びのポイントとして、“コストパフォーマンス重視”から“安全性、清潔度の重視”へと変化しました。現在は旅のスタイルも、観光地中心ではなく、宿泊施設での宿泊体験がより重視される傾向も見られます。
マーケットを見てみると、東京オリンピック需要から、ホテルの建設ラッシュがありましたが、それも一旦落ち着き、温泉やサウナ施設などの付帯サービスを持つホテルや、特定のコンセプトを持つホテルが人気となっていたりもします。今後も変化するゲストのニーズを特定し、その価値に合ったサービスを提供することが重要となるでしょう。
こちらのチェーンホテル様では、変化するゲストのニーズを把握するために、アンケートを運用しています。アンケートを実施し、回収率を上げるためには、本社と現場の連携を強化しつつ、下記のポイントに留意すると良いでしょう。
- 設問を策定する前に、アンケート回答を実際に利用する部署とその利用目的を明確にする。例えば、「ホテルの清潔度に関する設問は、対策を計画、実施した本社がゲストの評価を確認するため利用する」、「新たに実施した宿泊プランに関する質問の回答は、現場の方で利用する」といった具合です。収集したデータを誰がどのように活用するのかを想定して、設問を作成することがポイントです。
- アンケートの実施目的を本社と現場で理解した上で回収に努める。アンケート実施目的を明確に理解できていれば、現場スタッフもお客様へのお声がけもしやすくなります。アンケートの回収率アップには必要なポイントとなります。
- ゲストにアンケートをお答えいただくことの重要さを伝える。「これからも皆様により良いサービスをご提供するために、お客様のお声は重要です」とお客様のアンケート回答が重要であることを促します。
D. CSの向上、強化に取り組んでいるチェンホテルの特徴について
クチコミ管理業務にネガティブなイメージを持っている従業員が多く、そのイメージを変えたい、従業員のクチコミに対する意識を変えたいというホテル様がかつては多かったです。TrustYouトップインタビューで代表にもご登場いただいた、大阪に本社構える持つユーザーホテル様の事例をご紹介します。
こちらのホテル様では、社員へのクチコミ原文の見せ方を工夫され、「お客様からのお褒めの言葉」として、バックヤードの掲示板に表示することで、クチコミは、ネガティブなものだけでないとスタッフヘの理解を促していました。このように、良いクチコミを工夫して可視化して見せていくことで悪いイメージを払拭できるのではないかと思います。
また、TrustYouの機能で、クチコミが投稿されるとアラートメールが自動的に届く設定ができますが、そのアラートメールを、チャットツールのSlackと連携し、パートやアルバイトの方に転送する取り組みをされています。社内での情報格差を無くし、ゲストから届く全てのコメントを包み隠さず見てもらう。お客様に真摯に向き合い、社内でCS体制の作るためにTrustYouを活用されています。
さらに、某ホテル様で、滞在中にゲストの不満解決し、CSの向上につなげるために、リアルタイムのアンケートツール TrustYouライブサーベイを活用いただいている事例をご紹介します。
ランチタイムにラウンジを利用されたゲストいらっしゃり、ランチからティータイムに転換する際に、まだ食事の途中であったお皿をスタッフに下げられてしまったそうです。そのゲストの方は、お部屋に戻った際に、その件をリアルタイムのアンケートに入力し、ホテルに伝えました。その後、滞在中にラウンジを再訪した際には、ホテルの方で改善がなされ、スタッフがラウンジでお客様にランチおよびコーヒータイムのスケジュールについてお客様に声がけをしている姿を見られたそうです。その姿を見て、滞在後のクチコミで高評価をされたとのことです。
アーリーチェックインに対する感謝のお礼やコメントなど滞在中の評価は、滞在後の評価よりも高くなる傾向も見られます。最後に、滞在中にお客様のお声に耳を傾け、CSの向上に取り組まれているホテル様の事例をご紹介させていただきました。