Category: COVID-19 Resources

Reporting

ホテル、旅館の品質管理に役立つレポート活用について

クチコミデータを通して、ホテルの評判に注意を払うことは重要ですが、現在のホテル、旅館の運営において、ゲストの滞在体験を確認、把握し、それを社内で情報共有することがより重要になってきています。 これまで以上にゲストが慎重になり、ホテル、旅館のサービスにも様々な選択肢を求めています。消費者であるゲストも絶えず変化しており、異なる世代、タイプ、嗜好、ニーズや期待の全てに応えることが非常に難しいのも現実です。そのような中で、ホテルや旅館は、ゲストの期待に見合うサービスや質(クオリティ)をゲストから求められています。 自施設の品質を維持し、ゲストの満足度の向上に向けた改善や投資の計画を進めるためには、現在の自施設のクチコミ評価を認識し、ゲストの滞在体験を常にモニターし、測定する必要があります。それと同時に、競合施設を分析し、自施設のマーケットでのポジション(立ち位置)を再確認し、アフターコロナに向けて自社が進むべき方向を明確にしなくてはなりません。 多くのKPI(重要業績評価指標)を継続的に分析するのは大変な作業になると思われがちですが、適切なツールと戦略を用いれば、そこまでの労力をかけなくとも、レポートを作成し、社内で共有することができます。 TrustYouでもレポートの作成について、ユーザーの皆様からご相談をいただくことが多いですが、まずは以下のルールに留意し、レポート作成に取り組んでみることをお勧めします。 1. シンプルであること – 1つのレポートに多くのKPIや指標を含めず、最も関連性の高いもののみに絞る。 2. 読みやすい体裁にする – 数値を表やグラフで見せ、簡単な分析コメントなどを入れ、目で見て、理解しやすいようにする。 3. 共有できるようにする – レポートを共有フォルダなどに整理し、保管することは、今後の分析にも役立ちます。 まずは社内でどの指標を確認し、分析したいかを明確にする作業は必要となりますが、指標となるKPIは、TrustYouの分析ツールAnalytics(アナリティクス)ダッシュボード上にあるものをご使用いただくことをお勧めします。下記、レポート作成に役立つTrustYouのクチコミ分析ツール(Analytics)やオンラインアンケート機能(Survey)の活用方法をご紹介します。 ●インパクトスコアを確認する。インパクトスコアは、お客様のクチコミの内容が全体の評価(スコア)にどのように影響しているのかを明示します。インパクトスコアは、TrustYouが事前に設定している、センチメントカテゴリ(フロント、ハウスキーピング、料理、WiFi、バスルームなど)から改善すべきカテゴリーの優先づけをします。例えば「ハウスキーピング」が特定期間のパフォーマンススコアに悪影響を与えていることが分かれば、原因を究明し、改善することでスコア改善を目指すことができます。 ●部門タイルをチェックする。ここでは、特定の部門やチームに関する現在のスコアと傾向を確認できます。例えば、ハウスキーピングに関する苦情があった場合にはすぐに察知し、以後同様の苦情が入らないよう、即座に対応することができます。 ● オンラインアンケートの回答を分析する。ゲストの声を最大限に把握するためには、OTAのクチコミを分析するだけでは十分ではありません。カスタマイズ可能なオンラインアンケートでは、施設側がゲストに聞いてみたい質問を設定し、その回答を分析することができます。ゲストが施設に求めている改善点や高く評価している点など、クチコミ投稿よりもさらに深い内容を知ることができ、今後の投資の決め手となる回答が得られるかもしれません。 ●競合他社にも目を配る。TrustYouのクチコミ分析ツール、Analyticsでは、最大6つの競合施設を設定し、自施設とのスコアを比較することができます。マーケットで優位に立つために、また競合と差別化するために、特定のカテゴリーにおけるスコアの比較も可能です。例えば、「朝食」のスコアのみを競合施設と比較することもできます。 ●レポートの自動化、時間を節約する。レポート作成と社内共有という作業には手間がかかるイメージがありますが、TrustYouダッシュボードでは、時間を節約するために、レポートの作成と配信をスケジュール化することが可能です。定期的に指標として確認するスコアを決めた後は、レポートの生成頻度を選択し、受信箱に自動的に受け取ることができます。例えば、毎月1日にインパクトスコアのレポートを受信し、前月のホテルのパフォーマンスに最も影響を与えているカテゴリーを確認し、社内で共有することも可能となります。 ウィズ/アフターコロナでは、レポートによる情報共有がホテルの品質管理に役立つと考えています。ゲストはホテルに対して、コロナ前とは、異なる期待を持っています。だからこそ、ゲストに適切に対応し、自施設の”質”の維持を可能にする最善の方法は、ゲストの滞在体験や満足度をデータで把握することです。レポートは、ゲストが何を求めているのかを組織として把握し、ホテル、旅館をよりポジティブな決定へと導くのに役立ちます。 レポートやKPIの設定など、ご不明な点がございましたら、ぜひ当社の専門家チームにお気軽にご連絡ください。 ※ブログ原文(英語)はこちら。

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コロナ禍におけるトラベルヘルスインデックスの推移 — 沖縄編

TrustYouでは、コロナ禍の宿泊施設に関するクチコミ投稿件数を2019年度のものと比較し、回復状況を示す指標、トラベルヘルスインデックスを公開し、その推移を確認しています。今回は、日本国内の主要都道府県である東京都、大阪府、京都府、福岡県、沖縄県の推移を調べてみました。下記の図は、日本全国の新型コロナウィルス陽性者数と共にトラベルヘルスインデックスの推移を表示しています。(※期間:2020年3月16日の週〜2021年6月21日の週) クチコミ投稿件数と稼働率との密接な関係 下記の図で、トラベルヘルスインデックスの推移を見てみると、毎回の政府自治体による緊急事態宣言の発令後にクチコミ投稿件数が大きく減少していることが分かります。これは、宿泊後のゲストによるクチコミ投稿件数が減っていることを示していますので、トラベルヘルスインデックスはホテルの稼働率と密接な関連性があることが分かります。 注目すべき点は、沖縄(水色の折れ線)の推移が他の都道府県と若干異なる点です。まず2020年の1回目の緊急事態宣言(4月7日〜5月25日)発令後、沖縄の折れ線が6月以降に他県に比べ、早めに回復していることが分かります。その後、7月にGoToトラベルキャンペーンが開始、10月にGoToイートキャンペーンが開始され、全国的に回復傾向にあるものの沖縄県の数値は、京都府(緑色の折れ線)よりも高い数値で推移しています。 その後、2021年に2回目の緊急事態宣言(1月8日〜3月21日)の発令があり、その後GoToキャンペーンがない中で沖縄県内の宿泊施設のクチコミ投稿件数は回復傾向となりますが、3月以降、新型コロナ陽性者数が全国的に増え、6月より沖縄県独自の3回目の緊急事態宣言に入ってから、沖縄の数字が大幅に減少しているのが分かります。 新型コロナウィルス(Covid-19)のマーケットへの影響力も鈍化 さらに、下記の図で沖縄県のみのデータを確認してみると、毎回の緊急事態宣言発令後に、クチコミの投稿数が急激に減っている(赤い矢印)ことが分かります。 さらに全体的に見ると、クチコミ投稿件数(=ホテルの稼働率)と新型コロナ陽性者数はほぼ反比例していることが分かります。逆に比例する場合は、その後に緊急事態宣言が発令されるというパターンが見られます。ただし、ホテルとゲストの双方がウィズコロナ(コロナと共存する)の状況に慣れてきており、緊急事態宣言の解除後には、すぐに回復に向かう傾向があるので、新型コロナウィルスのマーケットへの影響が日を追うごとに鈍化し、徐々に弱くなっていることが読み取れます。 稼働率とADRの回復に向けて さらに、Googleの今後の新型コロナウィルス陽性者数の予測を確認すると、沖縄の陽性者数は減少に向かうと予測されています。新型コロナウィルス陽性者数と稼働率が反比例することを考慮すると、陽性者数の減少に伴い稼働率も回復向かうことが予想されます。 2021年6月現在、世界のワクチンの摂取状況から見てみると、米国、英国では国民の40%が摂取完了、ヨーロッパでは25%が完了しています(日本ではまだ5%が完了)。STRの調査によると、米国では2021年3月以降、稼働率、ADRと共に2019年の80%までに回復していますので、ワクチン摂取が進み、GoToトラベルキャンペーンのような施策が再開されれば、旅行行動が回復し、ホテルの稼働率、ADRも回復していくことが考えられます。 まだインバウンド旅行者の受け入れ時期が読めない状況ではありますが、沖縄のような人気観光地では国内旅行者の回復については若干明るい兆しが見えてきているのではないかと思います。

Switzerland

スイスの一人勝ち?トラベルヘルスインデックスから見た観光地のリカバリー

スイスは、アルプスの素晴らしい自然や景色や、人気のチーズやチョコレート製品をはじめ、スイス人のライフスタイルも常に周りのEU諸国から称賛されています。さらに、2021年に入ってから、観光地としての旅行の回復状況も称賛すべき点があります。 下記の図表は、宿泊施設に関するクチコミ投稿件数の回復状況(2019年度同週との比較)を示すTrustYou独自の指標、トラベルヘルスインデックスで、ヨーロッパ諸国の状況を示しています。推移を見ていくと、スイスの宿泊施設のクチコミ投稿件数が2021年3月(March 15の週) から急激に増え、その後前年比で100%以上に回復していることが分かります。 また、各国ロックダウンの緩和が始まる2020年6月頃までさかのぼってみても、下記の図1を見ると、常にクチコミ投稿件数のリカバリー(回復)がスイスから始まっていることが分かります。 さらに、下記の図で、2021年1月からの推移を見てみると、5月あたりからEU圏内のその他の国でも回復が見られます。各国でのワクチン摂取の広がりの影響もあり、今後のさらなる回復が期待されます。 ヨーロッパのクチコミ投稿状況は、全体的に回復に向かってますが、新型コロナウィルスの感染者が減り、さらなる入国規制の緩和により旅行者が自由に国境を越えることができるようになれば、さらなる回復が見られるでしょう。上記データを見ると、ヨーロッパの観光業にとっては2021年5月が大きな転換期となったようです。 スイスの宿泊施設の稼働が、なぜ近隣諸国より早く回復しているのか、そのデータの背景を調べ、理解することが重要です。もちろん、長期にわたりロックダウン状態であった都市部に暮らす人々が、美しい自然や景観を求めスイスに向かうのも当然かもしれません。 また観光立国として進んでいるスイスは、国や自治体レベルでの特別なリカバリー戦略や対策があるのかもしれません。イギリス、フランス、ポルトガルもスイスを追いかけるように回復に向かっていますが、それぞれの国で何が起きているのでしょうか?下記の参考資料のリンクに参考となる記事がありますが、クチコミデータにも各国の取り組みや旅行者の動向が反映されているといえます。 参考資料: アフターコロナの観光・インバウンドを考えるVol.2 観光カリスマ山田桂一郎氏に聞く スイス事例からの学びとコロナ後の日本の未来 (やまとごころ.jp) ヨーロッパ域内での旅行がゆるやかに再開、一方で今夏も米国からの旅行者回復は望み薄【外電】(トラベルボイス) TrustYouのクチコミデータは、クチコミを通して、ホテル・旅館の施設内で起きていることをミクロな視点で把握したり、世界や国レベルで起きている現象をマクロ視点で把握することも可能です。クチコミデータの活用についてさらにお知りになりたい方は、ぜひ弊社までご連絡ください。 ブログ原文(英語)はこちら